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■サーフボードは流体力学の塊です。

船舶工学(Marine engineering)を駆使した乗り物であり、ヨット、モーターボード、タンカーなどと、基本的な考え方はなんら変りはありません。しかもサーフボードは一枚の板と、数枚のフィンのみで構成されているシンプルなモノであり、一切不要なモノなく、しかも推進力は基本的に「重力と波の力」のみ。非常にシビアな乗り物と考えて良いと思います。

そんな、サーフボードに関して、流体力学などを良く理解していない、当店スタッフを含めた、一般ユーザーが、サーフボードのスペックを、シェーパーに指示する事自体が間違っているのかも知れません・・・。

しかし、基本的な用語やデザインの意味を知っているだけで、ボードの選択、オーダーの際に、シェーパーやサーフショップの店員と会話がスムーズになり、また粗悪品を売りつけられる事の防止にもなります。

サーフボードテクノロジーに関する、ごく一般的な内容をご紹介する事で、皆様のより楽しいサーフィンライフの一助になればと願っております。

カスタムサーフボードについて
  ・プロショップである、NONKEY SURF&SPORTSがカスタムサーフボードにこだわる理由
・カスタムサーフボードの価値
・マジック・ボードの含有率
サーフボードの素材について
  ・ブランクス、クロス、レジンについて
・ポリウレタン×ガラスクロス
・EPS×ガラスクロス
・XPS×ガラスクロス
・モールドボード
サーフボードのシェープについて
・ハンドシェイプ
・マシンシェイプ
サーフボードのグラッシング(ラミネート&サンディング)について
  ・グラッシングの重要性
ボードデザインについて
  ・Rocker
・Rails
・Thickness
・Outline
・Fins
・Bottom shapes/Contours
・Graphics and the look of a board
カスタムサーフボードについて
■プロショップである、NONKEY SURF&SPORTSがカスタムサーフボードにこだわる理由

 『サーフィン』を辞書で引くと、この様に表記されています。

 

「サーフィン(英:surfing、surfin')は、ウォータースポーツの一つ。 波乗りともいう。サーフボードの上に立ち、波が形成する斜面を滑走する。 サーフィンをする人のことをサーファー(surfer)と言う。」
※出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
 


言葉にすると単純ですが、サーフィンは『サーフィン』というスポーツを中心に、アート、ミュージック、ファッション、ライフスタイルなど非常に奥の深い世界(サーフ・カルチャー/サーフィン文化)を形成しています。
この様に、奥が深いゆえに様々なサーフィンスタイルがあり、サーフボードといってもそれぞれのスタイルによって、様々な種類(形、素材、製造方法)があるのです。 とはいえ、自然を相手に行うウォータースポーツで使用する道具であるという事に変りはありません。サーフボードは時として、命を預ける道具でもあるという考えの元、お客様のサーフィン・ライフを支え続ける事をモットーとしているプロショップ「ノンキーサーフアンドスポーツ(以下、当店)」では、全てのサーファーの為に高品質で最適なサーフボードを提供するには、1人ひとりの要望、スタイルにマッチさせることのできる、カスタムサーフボードが最良の形だと考えます。

サーフィンを・・・、



競技スポーツとして性能を追い求める方。
文化としてとらえ、サーフスタイルを追求される方。
芸術作品としてのサーフボードを求める方。

全ての方々へ、高品質のサーフボードを届けるには、カスタムサーブボードがベストな選択であると、当店スタッフ一同は信じているのです。



■カスタムサーフボードの価値


現在、単にサーフボードを手に入れようと思えば簡単に手に入れられます。
タイのモールドボード、チェコのエポキシ、カリフォルニアのグラファイド・ケプラー製法、オーストラリアのホロー・フォーム・コアなどを始め世界中で多くのブランドボードが作られ、これらの流れは確実に世界のマーケットに影響を与えています(もちろん日本にも)。アメリカのスポーツ量販店には中国製のボードが色とりどりのサイズ違いで揃い、数多くのグッズも揃え、また中古ボードはサーフショップだけではなく、ネット上のeBayや、Yahoo!などにも多く出品されています。

サーフボードが簡単に手に入る事は、とても良いことでもある反面、悪いこともあります。
それは単に値段だけの問題や、粗悪品が横行する問題だけでもなく。 サーフィンの醍醐味の一つである「シェーパーやブランドとのリレーションシップによるボード製作」を行う、という側面が失われてしまうのです。最高のサーフボードは、シェーパーとの深い信頼関係経て、個々のサーファーへ完璧で全てのコンディションに対応する乗り物(サーフボード)は生みだされるのです。

カスタムサーフボードはフルオーダーです。

もし、貴方がスタイルを追求する、またはシリアスにスポーツとしてのサーフィンを追及するサーファーであるならば、カスタムサーフボードでソウルフルなオリジナル・シェープにこだわりを持つことをお勧めします。

機能的で美しく高品質なカスタムボードを作り挙げる為には、多くの手間隙と特別なエッセンス(要素/本質)が必要です。





サーフボードをクリエイトする作業は、シェーパーとサーファーそれぞれの経験のもとに行われること。
ユーザーの身長/体重/スタイル/サーフポイント/ロッカーとレールの微調整/を基に綿密に検討されること。
経験豊富なシェーパーと、波だけではなく個人のサーフィンの経験をもとにして、話し合いと質疑により時間を
費やされること。
シェーパーは、サーファーであり、職人(Artisan)でもあり、サーフボード・デザイナー = 芸術家(Artist)で
なければならないこと。

これら全ての特別なエッセンスは、貴方だけの為に作り上げられるサーフボードの為に費やされるのです。 この工程は、サーファーとシェーパーの間で何十年の間大切に、古い儀式として21世紀となった今も続いています。
これが、『カスタムサーフボードは作り手のソウルがこもった、スポーツの世界において唯一のアートピースである。』と言われる所以。大量生産のポップアウトがポピュラーになっても、シェーパーによるオリジナルシェープのサーフボードはとても価値のあるものに代わりがありません。

カスタムサーフボードは、サーフィンライフの醍醐味の一つ。 シェイパーとサーファーという人間関係もサーフィンライフの醍醐味であるのです。 また、アイテムとしても、波という自然に対して立ち向かう勇気を与えてくれる道具に魂が宿っているソウルフルなオリジナルシェープのカスタムサーフボードは、所有欲を十二分に満たしてくれます。

■マジックボードの含有率

カスタムサーフボードはマジックボードの含有率が高い。

そもそも、マジックボードとはか?







スピードに乗っている状態でもスピードに乗っていない状態でも、ボードの性能が発揮され、素直に動いてくれるボード。
自分のスタンスとボードの立たなければならないポジションが一致してくれる ボード。
掘れたセクションでも気持ちに余裕が持てて、コントロール性が高いボード。
厚いセクションでもレールがスムースに水を切ってくれるボード。
ドライブ性能とコントロール性能の2つがバランス良くMIXされているボード。
サーフィンが最高に楽しい!と感じさせてくれるボード。
最高にかっこいいボード。


一言でいえば、『ユーザが"大満足する"サーフボード』のことをマジックボードと言います。

シリアスにサーフィンを取り組んでいるサーファーなら、誰しも手に入れたいサーフボード。
しかし、プロのようにスポンサーから年間10本以上供給されるような立場にない、一般サーファーにとって、マジックボードにめぐり合う確立はかなり低い。

大量生産のストックボードや、モールドボードなど既成サイズで、ロッカーバランスやレール形状が決められているこれらのボードであっても、自分にあったデザイン、サイズ、浮力のボードをチョイスすることが出来るのであれば、マジックボードを手に入れることは可能だと思います。
しかしチョイスをミスした場合、ボードをコントロールするときなど、ユーザーがボードに合わせなければいけなくなってきます。市場に出回っている大量のボードの中からこの正しい選択を行うのはかなり難しい技術です。

カスタムボードはユーザーのリクエストに答え、身長・体重・スタンス位置を参考にし、ユーザーに合わせたボードを製作します。 オーダーの際は、ユーザーが現在使っているボードの欠点や、新しいボードで何を練習したいか?を詳しく聞き、シェーパーが判断して製作するので、ユーザー に合ったボードを手に入れる事が可能となるのです。このことは、カスタムボードの中にマジックボードの含有率が限りなく高いことを意味しています。
サーフボードの素材について
一般的なサーフボードの製法を大雑把で簡単に説明をすると...、
ブランクスをシェープし(削り)、サーフボードの形に成型。
強度を出すために、クロスを巻いて、レジン(樹脂)で固める。(ラミネートという)
レジンが硬化したら、余分なレジンをサンディングする。(削り落とす)
フィンをつけてサーフボードが完成するというものです。

ブランクス(フォーム)
サーフボードの心材。
クロス
フォームを包む補強材。
レジン
グロスを固める樹脂。

全てのボードにいえることですが、 格安なボードにはどこのフォームを使用しているかわかりません。コストを押さえ、安く作られた粗悪なものを使っているものもあるので注意が必要です。こういったフォームには、性能ばかりかフォーム自体のバランスが不安定なものもあるでしょう。

特に、格安な大量生産ボードですが、フォームは何だか全く判らないものが多いのも現実です。
高品質なフォームは、正確な型(サーフボードの大まかな形をしたもの)の中で、樹脂を発砲させて、均一な密度のセル(胞)で成型することで適度な重量バランスと、丈夫さ、しなりを造りだす事を実現していますが、粗悪なフォームはそのセルの密度がバラバラで、重量バランスそのものが素材から狂っているものもあります。

極端に安いものには注意が必要です。やはり安いものには理由があり、先に述べたように素材のフォームが悪いとバランスに影響するのは間違いない事実と思います。水の上でバランスをとって波に乗るサーフィン。すべてにおいて、バランスのよいものが重要です。

■ブランクス(フォーム)、クロス、レジンについて

ブランクスは、サーフボードの心材、フォーム(foam=泡)とも呼ばれ、ポピュラーな原料として「ポリウレタン(PU)」、「ポリスチレン(PS)」があります。カスタムサーフボードはこの原料を使ったものがほぼ100%です。



「ポリウレタン」で作ったフォームは、ウレタンフォームと呼ばれる。
「ポリスチレン」で作ったフォームは、ポリスチレンフォームと呼ばれる。
 → ※ポリスチレンフォームは、製法によって、EPS、XPS、スタイロフォーム、XTRなど名称や特性が異なる。

いずれも空気の含有率が高く、水に浮かぶ素材である。



ガラスクロスは、ガラス繊維(ガラスを細長く繊維状にしたもの)から作った織布の事。
一般的には、FRP素材の一つとして建材やヨット、レーシングカーのボディなどに多く使われているものです。



繊維ですので、強さに方向性があり、繊維方向の縦と横には非常に強いのですが、その45度の方向は樹脂程度の強度しかありません。力の方向にあわせて繊維方向を決める必要があります。また、積層を45度ずつずらしながら積層すると、ほぼどの方向でも同じぐらいの強度になります。しかし、多く積層すると(何枚も重ねる)重くなります。
また、編み方などによって、S、Eや、#000番手、などあり、強度・軽さをOZ表示で表示しています。
代表的なブランドとして、 HEXCEL、JPS、日東防などがあります。



レジンは樹脂の事、 ポピュラーな原料として、「ウレタン樹脂」と「エポキシ樹脂」がある。
フォームの素材によって使い分けている。




■ポリウレタン×ガラスクロス (Polyester:ポリエスター)


ウレタンフォームをウレタン樹脂でグラッシング(ラミネート)しているボードです。
(ポリエステルでできたブランクスで、その上にガラスクロスを巻き、ウレタン樹脂で固めている)

2005年まではこの素材がほぼ、100%近くを占めるほど主流でした。2005年12月5日世界の80%のシェアーを誇るクラークフォーム社が突然廃業致しました。フォーム(ブランクスともいう・サーフボードの心材)を作る工程に発生するTDIという有毒ガスの処理の仕方が、アメリカ環境庁の基準を満たす事が出来ず工場をストップ=閉鎖致しました。これにより、世界中で多くのブランドのフォームが流通していましたが、現在は大分淘汰され、とてもクオリティーに優れたブランクスメーカーも発足しました。

代表的なブランドとして、キングマックフォーム、USブランクス、エスキモーフォーム、インパクトフォーム、サーフブランクス、エスキモー、バフォード、ベネット・ディオン、エンパイアなどがあります。

※それぞれブランド(ブランクス)毎に特徴がありますが、当店からのオーダーのモデル、サイズなどによって、それぞれのシェイパーが一番合ったブランドを選択します。

※ポリウレタンフォームの拡大写真

■EPS×ガラスクロス

最新のエポキシ樹脂用ブランクスです。
(ポリスチレンできたブランクスで、その上ガラスクロスを巻き、エポキシ樹脂で固めている。)

EPSはビーズ法発泡スチロール (expanded polystyrene、EPS) 、皆さんご存知の発砲スチロールの素材名称です。

発泡プラスチック系の断熱材である発泡スチロール(EPS)を、ブランクスメーカーが強度、難吸水性、シェイプのし易さを追求して開発を行い、サーフボードの素材へと進化したのです。皆さんご存知の発泡スチロールとは質感からして全く別物と思っていただいて良いです。ブランクスメーカー毎に製品名称はありますが、一般名称としてEPSという言葉が使われています。

当店での最近(2008年6月時点)オーダーでは、EPSが8割近くを占めるほどの人気です。

エポキシ樹脂はレジンのおよそ8倍の強度があります。エポキシ樹脂は1970年代からテストを繰り返されている素材であり、また、ボリスチレンフォームとの組み合わせで、ウィンドサーフィン用のボード素材として、かなり前から主流となっています。

※EPSフォームの拡大写真

EPSは2006年頃より、ケミカル分野での技術革新、最新のマシンシェープ技術 DSD(デジタルサーフデザイン)の登場などで一気に精度とクオリティが上がり、サーフボード用ブランクスの素材としても台頭してきました。

代表的なブランドとして、アメリカンブランクスと マーコフォームがあり、群を抜いた高いクオリティを誇っています。

激しいアクションでボードがしなっても、折れない強度を誇り、非常に軽量である為、クロスを多く使用できるので折れづらいサーフボードができることが可能。但し、EPSは素材に塗料が乗りにくい為、ブラシ使用の際は色ムラが出やすい。またエポキシ樹脂は熱に弱いので、60℃以上の真夏の車内や、直射日光は避けて下さい。

※それぞれブランド(ブランクス)毎に特徴がありますが、当店からのオーダーのモデル、サイズなどによって、それぞれのシェイパーが一番合ったブランドを選択します。

■XPS(スタイロフォーム、XTR、スーパービース)×ガラスクロス

最新のエポキシ樹脂用ブランクスです。
(ポリスチレンできたブランクスで、その上ガラスクロスを巻き、エポキシ樹脂で固めている。)

EPSと同じ、ポリスチレンフォームですが、押出法ポリスチレンフォーム (extruded polystyrene、XPS) と言います。『スタイロフォーム』はダウ化工(株)の商標です。EPSとは製法が違う為にフォームとして特性が大きく違います。

堅くて難燃性の発泡スチロールであり、密度が高く、完全密閉状態の気泡"Closed Cell"Foamで出来ているので理論上は吸水性が全く無いという素材であり、優れた建築用の断熱材・保温材として40年以上の歴史があります。一定の難燃性を備え、一般的な発泡スチロールと区別するためか、淡い青などで着色されている事が多いです。この素材もまたブランクスメーカーが強度、難吸水性、シェイプのし易さを追求して開発を行い、サーフボードの素材へと進化させています。

EPSと大きく違うのは、EPSより強度が有り、EPSより少し重い(ウレタンフォームよりは軽い)という点です。

代表的なブランドとして、XTR社、DreamDrive社(スーパービース)があります。

※XPSフォームの拡大写真

※それぞれブランド(ブランクス)毎に特徴がありますが、当店からのオーダーのモデル、サイズなどによって、それぞれのシェイパーが一番合ったブランドを選択します。

■モールドボード

ポリチスレンのブランクスの上にエポキシ樹脂&PCVなどでコートされた堅くて曲がらないボードのこと。
外側が堅い殻に覆われている大量生産のもの。ブランドでいうとサーフテック、NSP、BICなどです。

※非常に丈夫で壊れにくいです。が、一旦傷が付くとフォームが水を吸います。
※基本的にこれらのボードはしなりません。が初心者には全く差は分かりません
 (フレックスライト、サーフテック2というのは、しなります。)

サーフボードのシェープについて
サーフボード シェイピング(以下シェイプ)とは、サーフボードの原形そのものを削り上げる工程をいいます。 サーフボード制作の全行程の中でも最もウエイトを占め、性能そのものをプランニングし、削りあげます。 作業行程もプランニングから始める為、大まかに分けても次のようにかなり手順があります。 (個々によって多少方法は相成ります。)

シェイプ方法は、ハンドシェープ、マシンシェープと大きく2つに大別されます。

■ハンドシェープ

シェーパーが完全に手作業で、ブランクスを一から削りだす製法。非常にクリエイティブな製法であり、創造性溢れるシェーパーが自らのイメージを具現化する方法として一番適している。
自分をサーフボードデザイナーだと自覚し、新しいモデルを作りだす為にはこの方法が一番適している。 サーフィン創世記から続いているサーフボードの基本の作り方。

全てのサーフボードの原型は、この製法から生み出されているのです。シェーパー自らのアイデア、マインド、などがこめられているソウルフルなオリジナルシェープを今も生み出し続けています。
デメリットとしては、ハンドシェープで生み出したボードは2度と完全に同じモノが作り出せない。シェーパーのスキルは当然のこと、体調にも左右される為、時間が掛かる。そして、なにより全て手作業の為、マシンシェープより大量生産に向かない。



■マシンシェープ

最新の製法。昔からシェイピングの難しさを容易にする方法や、製造時間を短縮させ、生産量を増やす方法などが検討されてきました。近年、ラスティーが提唱しているDSD(Digital Surfboard Design cut)というコンピュータ上でサーフボードをデザインし、シェープを行うという製法が注目されています。
日本では20年も前から、シェープデザインシステム“SUPERFOIL”をOGM社が開発し、ボードのデザインを100% コンピュータ上行う事を実現させていました。(プログラム著作物の登録:P第6736号−1 財団法人ソフトウェア情報センター(SOFTIC)登録済)

しかし、コンピューター上でサーフボードのデザインが出来るとは言うものの、マシンシェープでは荒削り状態まで。

生産性の向上という事ばかり言われるが、一番のメリットは、シェイプマシンを使うことで、シェイパーの考える、自由でオリジナルなアウトライン、ロッカーを、大きなブランクスから正確に削りだすことが出来るという事が画期的なのです。

シェープの工程を70%〜80%までマシンで行えるため、よりよいボードを作れるようになり、 同じボードをより正確にコピーすることができるようになった。そして、ボードデータをコンピュータ管理できるということが、シェーパーの負担を軽減させ、よりクリエイティブなサーフボードデザインを可能にしているのです。
もちろん、マシンの性能がよくなるにつれて、ハンドシェイプの時間は30分から20分に短縮され、さらに20分から10分に短縮されると思いますが、しかしハンドシェイプがなくなることはないでしょう。

多くの人達が、マシンシェイプは人の手が加わらないと勘違いしているがそんなことはないのです。 結局、シェイプマシンは道具であり、道具がよくなればよりよいものを作れるようになるという事なのです 。

シェープマシンは、シェーパーが手にした新しい道具である。
サーフボードのグラッシング(ラミネート&サンディング)について
■グラッシングの重要性

削られたフォームにガラスクロスという物を樹脂で巻くことを、ラミネートと言います。
ガラスクロスは、ガラス繊維で出来た織布であり、繊維が 十字に編み込まれているので、樹脂が染み込んで固まったクロスの張力によってサーフボードに強い力が加わっても分散して壊れにくい仕組みとなります。繊維の方向を意識してラミネートを行う必要があり、グラッサー(グラッシングを行う職人)は、シェーパーのシェープの意図をデザインから汲みとり、ボードの特性を理解し、適切なグレードのグロスで適切な積層を行い、万遍なく均一にレジン(樹脂)で固めます。
グラッシングの工程は、ボードのバランスの良さにつながる為、下地になるフォームのシェイプとの相性が重要となってきます。 クオリティの高いシェープを施されたブランクスを、適切な強度でバランスよく補強するためには、樹脂の偏りや、オーバーサンディング(削りすぎ)などはあってはならず、高い技術が求められるのです。
レジンが充分に硬化したら、余分な樹脂を削り落とし、仕上げをするサンディングを行います。 また、グラッシングの作業の一つにフィンの取り付けがあります。 シェーパーの指示した位置に、正確にフィンを取り付ける作業を行うのは、グラッサーなのです。


シェープにばかり気を取られてしまいがちですが、クオリティの高いサーフボードメーカーは、高い技術を持つ、グラッシング工場と契約、もしくは自ら所持しているのです。

ボードデザインについて
■Thickness
シックネスとはボードの厚みの事をいい、ボードに浮力を与える要素です。厚みを薄くした場合はダックダイビングとボードのコントロールが難しくなります。ボードの厚さは両端のレールからセンターにかけて微妙な傾斜が必要です。ノーズを薄くした場合は波のトップでボードを波にくい込ませ、レイトドロップまでの時間を長くしやすく、すばやい動きにも対応します。テールを薄くした場合は微妙なコントロールやテイクオフもしやすく、より大きな波で望むスピードを維持しやすくなります。
■Outline

幅は普通ボードのセンターで計ります。しかし幅についてはボード全体のアウトラインにおいての1つの要因にすぎません。アウトラインはあなたの体格と乗る波に合わせた長さと幅のバランスなど、ボード全体の面積を確定するもっとも重要な要因となります。一般的にアウトラインの狭いボードはリーフや質の高い波で使われ、スローでファットな波やチョッピーな波ではアウトラインの広いボードがよく使われます。もう1つの要因として、幅とアウトラインが平行に近い場合はよりスピードが出やすく、アウトラインのカーブが深い場合はすばやく方向を変えたり、ターンがしやすいという利点があります。

■Rocker
ロッカーとはボードのノーズからレールまでのそりの事です。そりが強いと直進性が弱く、回転性が強くなります。その反対にそりが弱いと直進性が強く、テイクオフが速くなります。どちらを選ぶかですが、その人にとってもっともよいサーフボードとは、あなたの現在の技量と普段どんな波で乗るか、この2つの条件のもっともよいバランスを考慮して製作されたものです。例えばリーフ向けのボードなら、テイルのそりを強くし、波のポケットにちょうど合い、ハイターンやレイトドロップを決めやすくします。反対にノーズのそりをおさえた場合は、リップの際のハングアップを防ぎ、体重を前にかけることでチューブから加速しやすくします。またスローポイントの波で使うにはテールのそりが浅いボードだとスピードに乗りやすく、流れをコントロールしやすいという利点があります。
■Bottom shapes/Contours
ボードのボトムの輪郭は常にロッカーと呼ばれるそりによって形作られます。コンケーブと呼ばれるサーフボードの下を流れる水をコントロールする形状や、V底のボトムは山形のすじをつけることによりターンしやすくしたものがあります。これらはロッカーとともに選択しなければなりません。例えばシングルのコンケーブの場合はボードのセンターのラインからそりを弱くすることが出来るので、ターンからのスピードを維持する事が容易になります。フラットボトムはシンプルですが様々な状況によく対応しています。
■Rails
レールとは波にくい込ませる事で波に乗る事ができるボードの両サイドのラインの事です。これも浮力を重視してパドリングしやすくするか、浮力を少なくして波にレールをくい込ませ、波の力を得やすくするかのバランスの選択が必要です。Low/Midium/Highの3タイプあり、Lowのもっとも浮力の低いレールを選んだ場合、体重に比べて波にはくい込みやすいものの加速力は落ちます。またHighの浮力がもっとも高いレールを選んだ場合、微妙なターンのコントロールが難しく、エッジが利かない反面パドリングしやすくなります。ビギナーの場合は浮力の高い方がパドリングとテイクオフがしやすいのでHighがよく使われます。Lowのレールをテール部分につけた場合もテイクオフがしやすく、また正確なコントロールがしやすくなります。
       
■Fins
フィンはコントロールのしやすさと操縦性、スピードに関係してもう1つの非常に複雑な部分になります。またフィンを決定する際の3つの要因があります。

DEPTH:ボードからフィンのトップまでの長さをいいます。この長さはターンのしやすさと密接な関係があります。

BASE:フィンの取り付け部分の事で、この長さがボードのスピード性能と方向性に大きく関係しています。BASEが長いとボードの方向性は大きくなります。

RAKE: ボードの先端からフィンの角度の事をいいます。この角度が大きければ、フィンは広く長くなり方向性は大きくなりますが、この角度が小さくなれば、より速く正確にターンしやすくなります。取り外し可能なフィンのシステムは、その時状態に合わせて取り外し可能にします。

シェイパーはあなたに最適なフィンの相談に乗る事が出来ます。またガラスオンという取り外しできないタイプのフィンはもっとも信頼性が高く、もっともパフォーマンスがしやすくなります。
■Graphics and the look of a board
ボードに描かれたグラフィックはボードに命を吹き込みます。ただ白いボードは軽快には見えますが心は動きません。ノーズの部分を明るい色に塗った場合、感覚的に回転のキレがよく、操縦性能が高まったように感じる事がよくあります。ボードのボトムの部分は海に行った駐車場などで、あなた自身の個性を象徴する重要な部分と考えています。私たちは1つ1つのサーフボードを私たちの芸術品と考えています。よく見られるコマーシャル化されたサーフボードには私たちは退屈しています。なぜならサーフボードは1つの作品としてあなたの個性を評価し、あなたを演出するものとして、あるいはあなたが選んだアーティストの作品を表現するとして考えられています。
■Do you believe in magic surfboards?
サーフボードというものは繊細で複雑なバランスのうえでなっています。
様々な人の好みは、しばしばサーフボードの基本と相反する事があります。まず基本の優先順位を決め、そして様々な希望をそこへ取り入れることが肝要です。プロのシェイパーとして実績を積んだ人の体験による直感などにより優先順位を決めていきますが、これで全てを満足できるという事はありません。そのシェイパー達が追い求めていたものがいわゆるマジックボードというもので、現在あなたも手に入れることが出来るようになりました。けれどもこれには専属のシェイパーと、あなたのサーフボードに対する希望の2つが必要となります。本来ならばあなた自身のカスタムボードを注文製造してもらい、それにあなた好みの仕様をたっぷり費やさなければならないところを多くの人は衝動買いしてしまうことがあります。ずっと同じシェイパーの板に乗り続けている、あなたがすばらしいサーファーだと思う人にまず聞いてみましょう。そしてそのシェイパーに会い、あなたが乗っていたボードを見せ、今現在感じているいい点と悪い点をシェイパーに伝えるのです。そしてシェイパーと一緒にあなた自身の基本のベースとなるサーフボードの優先順位と取捨選択を行う事が大切です。